手術・分娩の流れ

手術(12週未満)

日帰り、または1泊入院して手術を行います。

※頸管拡張は、経腟分娩歴がある場合は省略されることがあります。
※イラストはイメージです。実際の診療・施術内容と異なることがあります。

①内診台で子宮頸管拡張を行います

内診台で足を開いて、腟の中を展開する器具を入れて処置をします。金属製の棒で子宮の向きと大きさを確認してから、子宮の出口に細い棒(海藻でできているラミナリアなど吸湿性子宮頸管拡張剤)を入れ、さらに、水分をふくませたガーゼを腟内に挿入します。処置は約3~5分です。

Q.子宮頸管拡張(前処置)って痛いの?時間がかかるの?

A.個人差はありますが、強い痛みを感じることがあります。前もって痛み止めの座薬を入れたり、まれに局所麻酔や硬膜外麻酔で痛みを和らげることもあります。子宮の出口に入れた細い棒が、ガーゼの水分を吸ってゆっくり太くなる過程でも痛みがあれば積極的に痛み止めを使用しましょう。棒の材質によって待機時間が異なります。一般的に一泊入院の場合は、手術前夜に前処置を行い翌朝に手術をします。日帰りの場合は、朝に前処置を行い午後から手術をします。

②手術室で静脈麻酔をします

術衣に着替えて、手術台に移動します。手術室には医師1名と看護師1~2名がいます。手術台で仰向けになり、足を開く台にベルトで固定されます。腕に血圧計、指先にパルスオキシメータ(酸素飽和度と脈拍数を調べる装置)をつけます。腕などの静脈からとった点滴から麻酔薬などを投与します。

Q.なぜ静脈麻酔をするの?

A.特に掻爬(そうは)法や、電動吸引法と掻爬法の併用は、手術の痛みが強いため、身体的・精神的ストレスから守るために静脈麻酔で眠らせます。麻酔がかかっている間は痛みを感じることはありません。手動真空吸法(MVA)は、手術の痛みが軽いため静脈麻酔は必須ではなく、海外では局所麻酔(傍頸管ブロック)が標準的に行われています。

Q.静脈麻酔(全身麻酔)のリスクは?

A.静脈麻酔薬が体の中に入ると、数十秒で意識がなくなりますが、呼吸は止まりません。しかし、まれに呼吸が浅くなったりアレルギー反応を起こすことなどがあるため、バイタルサイン(血圧、脈拍、酸素飽和度など)をチェックしながら慎重に手術を行います。もし一時的に呼吸が浅くなった場合は、酸素を投与したり専用マスクで呼吸の補助をします。

③麻酔がかかったら手術を行います

麻酔がかかったら手術を始めます。腟を展開する器具を入れ、前処置の棒を抜去し、消毒をします。子宮の向きや大きさを確認してから子宮の出口の開大処置をします。そして、器具を使って妊娠の組織を外に排出します。手術時間は約5分です。

Q.手術にはどんなやり方があるの?

A.3つの術式があります。

①手動真空吸引法(MVA)
WHOは手術の場合、真空吸引(しんくうきゅういん)法を推奨しています。子宮の中に入れる管は細くてやわらかいカニューレで、プラスチック製の本体を引くと陰圧がかかり妊娠の組織が吸引されます。電力は不要です。

②電動吸引法(EVA)
子宮の出口を開く処置をしたうえで、子宮の中に金属製の吸引管を入れてチューブにつなぎ電動で妊娠の組織を吸引します。さらに、かんしという金属製の器具で組織を排出することもあります。

③掻爬(そうは)法(D&C)
子宮の出口を開く処置をしたうえで、かんしという金属製の器具で妊娠の組織を排出し、その後、キュレットという金属製の器具を使って組織を掻き出します。このとき、正常の子宮内膜を傷つけたりしないように十分に注意します。

Q.手術には、どんなリスクがあるの?

A.きわめてまれですが、手術で盲目的に子宮の中に金属製の器具を入れることや、子宮内膜に傷がつくことで、以下の特有の合併症を生じることがあります。このような合併症の観点からもSafe Abortionの手法のほうが望ましいと考えられます。

  • 子宮穿孔(子宮の壁に穴があいてしまう)
  • 子宮内腔癒着症(アッシャーマン症候群)
  • 子宮内膜菲薄化(正常の子宮内膜が薄くなり、受精卵が着床しづらくなる可能性がある)

④2~3時間休んで帰宅

手術が終わると、声をかけられ、目を覚まします。術後出血をおさえるために子宮収縮薬を投与されることもあり、術後は子宮が収縮するために下腹部痛や腰痛を感じることがあります。痛み止めや術後感染を予防するための抗生物質などが処方されます。

Q.麻酔はすぐにさめるの?

A.麻酔のさめ方は、使用した薬剤の種類や量によってちがいがあったり、個人差があります。術後、数時間休んで帰宅します。車の運転は控えてください。帰りに付き添いの人がいると安心できるかもしれません。

Q.術後の過ごし方は?

A.手術当日~数日間は、重労働や激しい運動などを避けてください。一般的には、腹痛は数日間続くことがあるため、痛み止めはしっかり内服しましょう。出血は1~2週間、またはそれ以上続くことがあります。レバーのような塊で出ることも、サラサラした鮮血が出ることもあります。症状の程度に関わらず、術後の診察は必ず受診しましょう。

分娩(12週以降)※中絶は22週未満まで

数日間~1週間くらい入院して分娩を行います。

※イラストはイメージです。実際の診療・施術内容と異なることがあります。

当日の持ち物・注意

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【参考文献】

公益社団法人 日本産婦人科医会 「頸管拡張」
http://www.jaog.or.jp/note/6.子宮頸管拡張/

公益社団法人 日本産科婦人科学会 日産婦誌60巻1号「子宮内容除去術」
http://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=to63/60/1/KJ00005050174.pdf

公益社団法人 日本産婦人科手術学会「子宮内容除去術のための手動吸引法」
http://www.womenshealthjapan.com/seminar/pdf/jsgos38_2.pdf

公益社団法人 日本麻酔科学会 「WHO手術安全チェックリスト」
https://anesth.or.jp/files/pdf/20150526checklist.pdf